有機EL Sony KJ-55A9G キャリブレーション
2020/01/03 17:41
ジャンル:
Category:ビジュアル
TB(0)
|
CM(4)
[Edit]
前回の導入報告(http://takhag.blog.fc2.com/blog-entry-274.html)に続き、今回は、キャリブレーションの報告をします。
KJ-55A9Gの購入理由の一つは、Portrait Displays のディスプレイキャリブレーションソフトウエア"CalMAN"によるオートキャリブレーションに対応したことがありました。
画面にセンサーを取り付け、入力された映像信号に対し、正確に再現されるよう校正するのがキャリブレーションです。テレビやプロジェクターを作る側は、「綺麗に見える」ことがお客様に買ってもらえるかどうかの基準になってしまうので、どうしても映像を強調したり色味を変えたりしてしまいます。映像作家や放送側の意図通りに再生しようとすると、残念ながらキャリブレーションは必須になってしまいます。
通常はビデオプロセッサで入力HDMI信号を補正してディスプレイに出力し、最終的な画像が正確になるようにします。(逆補正という感じ)
KJ-55A9Gを始めとするCalMAN対応のテレビは、そのビデオプロセッサをテレビに内蔵したとイメージすれば良いと思います。
今回購入した後、しばらくはキャリブレーションは行わず、ソニーお勧めの「スタンダード」で見ておりました。前回レポートしたとおり、その「スタンダード」さえ、ギラギラ、色オーバーです。BDレコーダーのGUIや民放バラエティの原色キャプションが目に刺さります。
耐えられず、早々にキャリブレーションするに至った次第です。
詳細のキャリブレーション方法は、エディピットさんのホームページ(http://www.edipit.co.jp/products/detail.php?id=194)に詳しい情報が載っていますので省略します。
1点、Sonyさんのとっても残念なところは、せっかく「ビデオプロセッサ」は内蔵したのに、「内蔵パターンソースジェネレータ」を省略してしまったところです。メーターとPCは仕方ないですが、さらにパターンジェネレータまで外付けしなければならないなんて・・・。正直ありえないと言っても過言ではないと思います。パナソニックさん他は、内蔵されているようですので、猛省を促したいところ。
仕方なく私は2K時代のDVDO Duoを引きずり出して、パターンジェネレータとして使用しました。
それでは、測定結果です。
まずは、グレイスケール。色温度6500K、ガンマ2.2を基準としました。R、G、Bの3本のグラフが、中央のゼロの線に乗るのが正確な表現です。
上からソニー推奨の「スタンダード」、映画モードである「シネマ」、最後にキャリブレーション後のグラフです。グラフの上の数字が、平均エラーDeltaEで小さいほど良い結果です。
「スタンダード」:エラー11.2

「シネマ」:エラー4.1

「キャリブレーション」:エラー0.4

「スタンダード」は色温度が盛大に青側にずれています。「シネマ」は色温度は正確ですが、中間を映画っぽく見せるために暗くしてあります。「キャリブレーション」は、ほぼ正確。
続いて、カラーチェッカーです。各カラーのドットが、四角い枠に入るのが正確な表現となります。
「スタンダード」:エラー9.0

「シネマ」:エラー6.0

「キャリブレーション」:エラー0.8

「スタンダード」は3原色の色域を広げより鮮やかに見せようとするあまり、水色・紫の位置もすっかりずれています。すなわち、作家さんが「水色」と思って出した映像は水色になりません。「シネマ」は、全体にすこし拡張しているもののほぼいいところに行っています。「キャリブレーション」は完璧、と言いたいところですが、3D Lutではないため、中間調がちょいずれ。
実際の映像です。デジカメで、露出固定で、画面を撮影しています。「スタンダード」と「キャリブレーション」の比較を並べます。
BDデモ映像
「スタンダード」

「キャリブレーション」

BD映画屋外シーン
「スタンダード」

「キャリブレーション」

BD映画室内シーン
「スタンダード」

「キャリブレーション」

BD映画屋外シーン
「スタンダード」

「キャリブレーション」

BS4K動物
「スタンダード」

「キャリブレーション」

「スタンダード」は、明るさのみならず、人肌が青白かったり、水色のアスファルト、作業員のおじさんのTシャツの赤もギラギラ、芝生が妙に黄緑等、色がやはりおかしいのがデジカメでもわかります。
「キャリブレーション」は地味に見えますが、これが元々の映像作者の意図というところでしょう。
キャリブレーションを行うことによって、我が家のKJ-55A9Gは実力を発揮しました。何を見てもその映像の美しさに見とれます。買った状態でなんでこうならないんでしょうか?それは我々パッと見で「綺麗!」「暗い!」とか判断してしまうユーザーにメーカーが合わせてしまっているわけで、ぐるっと回って自分たちのせいでもあるんでしょうね。
向上代はとても大きいですので、機材をそろえるチャレンジが可能な方には、ぜひお勧めします。
って言われても、そんなの無理!という方には、せめてもの情報ですが、ソニーのお仕着せセッティングの中では「カスタム」の「標準」が比較的エラーが小さいことをご報告しておきます。グレースケールのエラーは2.1、カラーチェッカーのエラーは2.5です。(下にグラフを添付します。)
この「カスタム(標準)」をベースに、明るさを調整し、色以外のデジタルリアリティクリエーションやノイズリダクションを好みに設定するのが、キャリブレーションを行わない中での次善策となります。お持ちの方は、ぜひ一度お試しを!



** takhag のホームページへ **


KJ-55A9Gの購入理由の一つは、Portrait Displays のディスプレイキャリブレーションソフトウエア"CalMAN"によるオートキャリブレーションに対応したことがありました。
画面にセンサーを取り付け、入力された映像信号に対し、正確に再現されるよう校正するのがキャリブレーションです。テレビやプロジェクターを作る側は、「綺麗に見える」ことがお客様に買ってもらえるかどうかの基準になってしまうので、どうしても映像を強調したり色味を変えたりしてしまいます。映像作家や放送側の意図通りに再生しようとすると、残念ながらキャリブレーションは必須になってしまいます。
通常はビデオプロセッサで入力HDMI信号を補正してディスプレイに出力し、最終的な画像が正確になるようにします。(逆補正という感じ)
KJ-55A9Gを始めとするCalMAN対応のテレビは、そのビデオプロセッサをテレビに内蔵したとイメージすれば良いと思います。
今回購入した後、しばらくはキャリブレーションは行わず、ソニーお勧めの「スタンダード」で見ておりました。前回レポートしたとおり、その「スタンダード」さえ、ギラギラ、色オーバーです。BDレコーダーのGUIや民放バラエティの原色キャプションが目に刺さります。
耐えられず、早々にキャリブレーションするに至った次第です。
詳細のキャリブレーション方法は、エディピットさんのホームページ(http://www.edipit.co.jp/products/detail.php?id=194)に詳しい情報が載っていますので省略します。
1点、Sonyさんのとっても残念なところは、せっかく「ビデオプロセッサ」は内蔵したのに、「内蔵パターンソースジェネレータ」を省略してしまったところです。メーターとPCは仕方ないですが、さらにパターンジェネレータまで外付けしなければならないなんて・・・。正直ありえないと言っても過言ではないと思います。パナソニックさん他は、内蔵されているようですので、猛省を促したいところ。
仕方なく私は2K時代のDVDO Duoを引きずり出して、パターンジェネレータとして使用しました。
それでは、測定結果です。
まずは、グレイスケール。色温度6500K、ガンマ2.2を基準としました。R、G、Bの3本のグラフが、中央のゼロの線に乗るのが正確な表現です。
上からソニー推奨の「スタンダード」、映画モードである「シネマ」、最後にキャリブレーション後のグラフです。グラフの上の数字が、平均エラーDeltaEで小さいほど良い結果です。
「スタンダード」:エラー11.2

「シネマ」:エラー4.1

「キャリブレーション」:エラー0.4

「スタンダード」は色温度が盛大に青側にずれています。「シネマ」は色温度は正確ですが、中間を映画っぽく見せるために暗くしてあります。「キャリブレーション」は、ほぼ正確。
続いて、カラーチェッカーです。各カラーのドットが、四角い枠に入るのが正確な表現となります。
「スタンダード」:エラー9.0

「シネマ」:エラー6.0

「キャリブレーション」:エラー0.8

「スタンダード」は3原色の色域を広げより鮮やかに見せようとするあまり、水色・紫の位置もすっかりずれています。すなわち、作家さんが「水色」と思って出した映像は水色になりません。「シネマ」は、全体にすこし拡張しているもののほぼいいところに行っています。「キャリブレーション」は完璧、と言いたいところですが、3D Lutではないため、中間調がちょいずれ。
実際の映像です。デジカメで、露出固定で、画面を撮影しています。「スタンダード」と「キャリブレーション」の比較を並べます。
BDデモ映像
「スタンダード」

「キャリブレーション」

BD映画屋外シーン
「スタンダード」

「キャリブレーション」

BD映画室内シーン
「スタンダード」

「キャリブレーション」

BD映画屋外シーン
「スタンダード」

「キャリブレーション」

BS4K動物
「スタンダード」

「キャリブレーション」

「スタンダード」は、明るさのみならず、人肌が青白かったり、水色のアスファルト、作業員のおじさんのTシャツの赤もギラギラ、芝生が妙に黄緑等、色がやはりおかしいのがデジカメでもわかります。
「キャリブレーション」は地味に見えますが、これが元々の映像作者の意図というところでしょう。
キャリブレーションを行うことによって、我が家のKJ-55A9Gは実力を発揮しました。何を見てもその映像の美しさに見とれます。買った状態でなんでこうならないんでしょうか?それは我々パッと見で「綺麗!」「暗い!」とか判断してしまうユーザーにメーカーが合わせてしまっているわけで、ぐるっと回って自分たちのせいでもあるんでしょうね。
向上代はとても大きいですので、機材をそろえるチャレンジが可能な方には、ぜひお勧めします。
って言われても、そんなの無理!という方には、せめてもの情報ですが、ソニーのお仕着せセッティングの中では「カスタム」の「標準」が比較的エラーが小さいことをご報告しておきます。グレースケールのエラーは2.1、カラーチェッカーのエラーは2.5です。(下にグラフを添付します。)
この「カスタム(標準)」をベースに、明るさを調整し、色以外のデジタルリアリティクリエーションやノイズリダクションを好みに設定するのが、キャリブレーションを行わない中での次善策となります。お持ちの方は、ぜひ一度お試しを!



** takhag のホームページへ **


スポンサーサイト
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2020/09/22 11:50 ]
[ 編集 ]
Re: 暗すぎて困っています
ヤッシーさん、コメントありがとうございます。
キャリブレーションによって調整される項目は大量にありますので、また別途ブログに投稿しようと思いますので、もう少々お待ち下さい。
ただ、今回お困りの内容は、暗いシーンが暗くて見えない、ということかと思います。
これは、4KブルーレイのHDRでしょうか?また、画面のモードは何をお使いでしょうか?また周辺の環境は暗室状態でしょうか?
記事を再度確認いただきたいのですが、スタンダードと比較すると、どちらかというとキャリブレーションにより暗部が沈み込む傾向になっており、ヤッシーさんのご希望とは逆の方向に行くと思います。記事の中で床に俳優さんが寝転がっているシーンを御覧ください。画面右下の携帯電話の周りがキャリブレーション後のほうが暗いです。
なんらか他の原因(プレーヤーとモードが合っていない等)か他の対応(部屋を暗くしてみる、明るさを最大にする等)がある気もします。
キャリブレーションによって調整される項目は大量にありますので、また別途ブログに投稿しようと思いますので、もう少々お待ち下さい。
ただ、今回お困りの内容は、暗いシーンが暗くて見えない、ということかと思います。
これは、4KブルーレイのHDRでしょうか?また、画面のモードは何をお使いでしょうか?また周辺の環境は暗室状態でしょうか?
記事を再度確認いただきたいのですが、スタンダードと比較すると、どちらかというとキャリブレーションにより暗部が沈み込む傾向になっており、ヤッシーさんのご希望とは逆の方向に行くと思います。記事の中で床に俳優さんが寝転がっているシーンを御覧ください。画面右下の携帯電話の周りがキャリブレーション後のほうが暗いです。
なんらか他の原因(プレーヤーとモードが合っていない等)か他の対応(部屋を暗くしてみる、明るさを最大にする等)がある気もします。
[ 2020/09/27 19:12 ]
[ 編集 ]
コメントの投稿
トラックバック:
<< 4K放送の録画BD、残念ながらUDP-205では再生不可 | ホーム | 有機EL Sony KJ-55A9G 導入 >>